山里への旅!鄙びた山里への旅!素朴で奥ゆかしい村々へ

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「やまんば」さんの「自然環境の話」

 私が茨城県野外活動センタ−を初めて訪ねたのは、30年ほど前です。野外活動センタ−の建物以外、周囲には人為の跡は何もない、たおやかな山々だけでした。青草と少数のミズナラ・ヤマザクラやアカマツ以外、目を遮るもののない美しい自然でした。

 ところどころに牛の群れがたむろし、のんびりと草をはんでいました。このような見渡す限り周囲に人煙を全く見ない、広々とした牧場は、関東地方には此処以外にはありません。会う人ごとに、此処は、この村の持つおおきな『ダイヤモンド』ですよ、と説いたものです。

 茨城県にも、この牧場のある里美村にも人材がなかったのでしょう。県や村の役人に言った、私の言葉を次世代へ伝えるものがいなかったと見え、先ず、東の尾根に電動の巨大なオランダ風の風車がつくられ、その向いに宿泊施設が作られ、国道よりひろい道路が造られ、そうして国の補助金で牧草の貯蔵施設が造られました。

 それと前後して、この牧場の中で、もっとも秀麗な若駒山の山腹を削り、お花畑を滅ぼして周遊道路がつくられました。愚かなことに、この村はダイヤモンドを石ころに変えるために、税金を投じて、環境破壊に努力をしはじめたのです。

 最後の村長は、愚かにも、国の環境計画も、京都議定書も踏みにじり、その若駒山の向いの谷を削って安普請の肥料工場を建てました。東京から野外活動センタ−へ来訪した小学生でさえ、「先生、どうしてこんなに美しい牧場を壊してしまうのですか」と驚いていたほどです。

 あれよあれよという間に、山を削り谷を埋めて、牧場内に巨大な道路をつけ、いくつもの山頂を削って、風力発電用の風車をつくってしまいました。採算がとれるかどうかもわからない、真に二酸化炭素排出に寄与するかどうかも分からない代物です。

 風力発電設備建設のため、削り取られた山頂には、強風で、伸びあがることのできない、ミズナラの大木が、同じ高さに並ぶという、特異な生態系でした。このような設備が、ダイヤモンドに譬えられるような、この素晴らしい自然をこわし、石ころ同然に変えてまで、未来の人々に残す値うちがあるのでしょうか。

 この貴重な自然環境の破壊が、本当に何かよいことをもたらすのでしょうか。わたしには「税を私物化する」者達の手段と口実に過ぎないように思われます。大切な自然が彼等の欲望の犠牲になってしまたのだ、としか考えられません。

 僅か半年の間に十基近い風車がつくられてしまいました。此処の自然をこよなく愛して、一人で、友と、たくさんの門下生と、あるいは東京の小学生やその父母と、また 東京のガ−ルスカウトの子等と父母をつれて、何十回も訪ねたものですが、もう人を誘ってくるだけの値打ちは無くなってしまいました。悔しいですが、私の足も当然遠のくことになるでしょう。

 常奥の境のこよなく優れた自然環境にも、とうとう加速度がついたように、「税を私物化する」害獣が、食いつき始めたのです。   

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